ストーマとは人工肛門または人工膀胱のことですが、この記事は人工肛門に関する事柄を書いたものです。
人によっては、または状況(お食事中など)によっては、不快とお感じになる表現がこの記事に含まれている可能性があります。
ご了解いただける方は続けてお読みくださいませ。
ストーマの記事を書くことになった経緯
精神障碍者(2級)でネフローゼ症候群でもある姉が、2018年末にオストメイト(ストーマを持つ者)になりました。ストーマの種類はコロストミー(結腸ストーマ)です。
姉は、毎日の便の処理は(私の見守りの元で)なんとか自分で出来るものの(ただし、退院後の今も特訓中です)、パウチ(便をためておく袋)の交換を自分でするのは無理なので、弟である私がやることになりました(3日に1度)。ただし、月に2回は訪問介護の方に来ていただいてやってもらう予定です。
ネットでストーマ関連の記事を探してみると、病院やストーマグッズを扱うお店が書いたものが多く、オストメイト本人やその家族が書いたものは(あるにはあるものの)とても少ない印象を持ちました。ストーマに関するきめ細かい情報が、まだまだ不足しているように感じました。
当サイトでは、ストーマの患者サイドの目線から、ストーマに関する記事をいくつか書いていこうと思います。
何かあなたのご参考になることがあれば幸いです。
月2回の訪問介護を依頼する理由
私のように、家族のストーマのケアをする必要に迫られたとき、「私には無理!」と言って全てを訪問介護の方に依頼する方もおられるとのことです(お金持ちなのでしょうか? うらやましい)。
でも、ストーマのパウチ(袋)は完璧なものではないので、思いもかけないときに内容物が漏れることもあります(きちんと装着されていればそんなことは滅多にありませんが)。そういったときに、すぐに訪問介護の方が来てくれるとは限りません。来てくれるとしても、それまでずっと患者を放置するわけにもいかないでしょう。また、災害時などの予測不能な状況では誰が世話をすることになるのでしょう? さまざまな緊急事態を想定して、やはり身近にいる家族が一通りできるようにしておく必要があるでしょう。
それに、訪問介護に依頼すると、馬鹿にならないお金がかかります。私の姉の場合、まだ介護保険を使える年齢ではない(適用対象の病気でもない)ので、医療保険の3割が適用されるだけ(最初、訪問看護ステーションの担当から聞いていた話)。(まだ主治医が明確な判断をくだしてないこともあって)姉の身体障碍者手帳の申請はこれからですが、手帳を取得したとしてもそれほどお金の足しになりそうもありません。
「じゃぁ訪問介護に依頼しないで全部自分でやれば?」という話になりそうですが、最低限の月2回の訪問介護を私が利用するのは2つの理由があります。
1つ目は、私が何らかの理由で倒れたり動けなくなったりしたときに備えるためです。
もしも訪問介護を全く利用していない場合、私が動けなくなったとしたら、誰も姉のことを助けてくれません。問題が起きたときに急にお願いしても、来てくれる人はいません。でも、訪問介護を最低限でも定期的に利用していれば、「緊急時にも対応しますヨ」という有料オプションを付けておくことができるのです。
そのオプションの追加料金は(あくまでも私の手元の資料の金額ですが)月に 6,400 円なので、3 割負担だと月に 1,920 円。ただし、この金額は「緊急時対応します」という名目のみに対するものなので、実際に緊急対応してもらったときの作業費・出張費・深夜料金などは別料金になります。
もっと安くならないですかね~~?
その後、(姉は精神障碍者であるため)「自立支援医療受給者証」を使用することで、月額の自己負担上限額を抑えられる可能性があると分かりました。
2つ目は、姉が誰かと交流する機会の1つになれば良いと思ったからです。
姉は毎日家にこもりがちなので、人と交流する機会があまりありません。家族以外の人と会わせる時間を作ることも大切だと思いました。
うんちへの抵抗が無くなった理由
私はどちらかというと、うんち系は苦手なほうでした(たぶん、多くの人はそうですよね)。子供はいないのでオムツをかえた経験もありません。たぶん、今回のことがなければ(家族といえど)他人のうんちに近づくなんて考えられなかったと思います。
しかし、姉がひどく痛がって苦しんで手術を受けてオストメイトになったとき、少しの葛藤はありましたが、すぐに私の心も決まりました。
心身共に、一番、痛がって苦しんだのは姉です。ただ元気で帰ってきてくれたらそれでいい。そう思ったとき、ストーマの世話をすることなんて、もう大した問題ではありませんでした。
ま、私以外にやる人がいないので、覚悟を決めるしかないですね。
たとえば、海辺にいて遊んでるとき、大事な服がぬれたり汚れたりしたら困るので、最初は必死に波を避けたりします。でも大きな波がザブーンとやってきて、服がびしょぬれになったら、もう気にせず遊んだりしますよね。あるラインを乗り越える前までは迷いや躊躇があったけれど、いったん乗り越えたら、心のスイッチが切り替わった気がします。
もう1つ。姉のおなかの横からうんちが出てくるのを見たとき、人体の仕組みというか化学反応というか、そんなことを考えさせられました。以前思っていた、お尻から出てくる「汚い排泄物」というイメージとはちょっと違って、「食べ物の搾りかすが化学反応を起こして出てきたモノ」という見方が(実感として)より強くなった気がします。
まぁ、まだ、完全に抵抗がなくなったというわけではないんですけど(笑)。
うんちはそんなに汚くない
うんちが汚いのは確かです。大腸菌など様々な有害な菌が含まれているので。でも、たぶん、一般に思われているほどでは・・・ないと思います。
うんちに対して反射的に「汚い!」と感じて拒絶してしまうとしたら、それは幼いころの習慣や教育に原因があるという説があります。昔の日本のトイレは汲み取り式で衛生状態が良くなかったため、排泄後のうんちに病原菌が大量に発生し、虫が寄生虫の卵を生んだりしたので、確かにとても汚かったのです。そのため、病気を避けるためにも「うんちは汚いから触るな、近づくな」と教えられたわけです。しかし現代ではトイレの衛生環境が大幅に改善されました。うんちに対するイメージも変わっていくんでしょうか。
そういえば最近、「うんこ ドリル」が話題になりましたね。
別の説としては、排泄物・排泄行為は「性」を連想させるので、「公にできないもの」「隠すべきもの」として教えられるから、という話もあります。
意外かもしれませんが、排泄直後のうんちはそれほど汚くないそうです。排泄後、放置することによって、ひどく汚くなっていくのです。
実は、生肉や生魚を切ったまな板を数時間放置した後のほうが、排泄直後の便よりもはるかに不潔らしいです。生ごみのほうがうんちよりも不潔なんですね。
また、テレビ番組でお医者さんが言ってるのを見たことがある人も多いと思いますが、朝起きたときの人の口の中は細菌が繁殖していて、その濃度で言えば便よりも汚いということです。(朝起きたらブクブクうがいするか、歯磨きすると良いそうです)
(参考にした URL)
- https://oshiete.goo.ne.jp/qa/3207628.html
- https://getnavi.jp/healthcare/278275/
- https://caremanagerblogold.wordpress.com/2011/10/11/%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%8E%92%E6%B3%84%E7%89%A9%E3%82%92%E5%AB%8C%E3%81%86%E3%81%AE%E3%81%8B/
ストーマの大きさが落ち着くまでの期間
ストーマの大きさ(パウチの穴の大きさ)が落ち着くまで、手術から1年くらいかかるらしい。あわててプレカットのパウチを大量購入しないほうが良さそうですね。プレカットのパウチでも、その穴を指で広げることで、少しは穴の大きさを調整できるようですが。
業者によっては、一定の条件を満たせば返品を受け付けてくれるそうなので、調べておいたほうが良いかもしれません。
おすすめの漫画・書籍
ストーマのことなど何も知らなかった私と姉。ある日、なんの前触れもなく、突然、姉はオストメイトになりました。
私の頭の中にも様々な心配事がどっと押し寄せ、まるで暗いトンネルの中で不安に押しつぶされそうな状態でした。
そんなとき下記の漫画を見つけて、読んで、勇気をもらいました。
『すとまんが』内田春菊
(2025/01/28 02:04:37時点 Amazon調べ-詳細)
この漫画は、
「んー? そんなことで悩んでんの? ストーマは特別なことじゃないよ。オストメイトになっても、いつもと同じ生活を明るく元気に送れるんだよ」
ということを絵で見せてくれています。
ストーマに無知だった私と姉が、同じことを活字だけで伝えられたとしたら、あまり実感を伴う話とは感じられなかったでしょう。
実際にごく普通の生活をしているオストメイトの方(著者)の様子を絵(像、形)として見せてくれたことは大きかったと思います。
また、姉は精神障碍者でもあるため活字を読むのが苦手です(精神障碍者の方が皆そうというわけではありませんが)。それで、この漫画の一部をコピーした絵を入院中の姉に「みんなこんなふうに普通の生活をしながら頑張ってるんだよ」と言って見せたら、とても興味を持って「へー。そうなんだー。これは貴重な漫画だね」と感心しながら元気をもらっているようでした。
ちなみに、この漫画では、ストーマ以外の話題にもちょっと触れられているのですが、そこは読者によって好き嫌いもあるようです(笑)
ストーマのことを書いた書籍はそこそこあるようですが、漫画はほとんど無いと思います。とても助かりました。
下記は漫画ではありませんが、ストーマ生活を送るための基本情報が書かれています。
『快適!ストーマ生活』松浦信子、山田陽子
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実は、上記の書籍の中で私が最も気に入ってるのは、挿し絵のところです(笑)。この挿し絵でも、オストメイトの人が普通の生活を送っている様子が分かりやすく表現されています。
下剤の調節について
私の姉は便秘ぎみなので、オストメイトになった当初からマグミット(下剤) & 大建中湯(漢方)を処方されていました。
看護師さんから「下剤は調節してください」と言われたんですが、どう調節したらよいのか(聞いてみても)今ひとつ分かりません。
しばらくは適当に調節してたんですが、ある日、薬局の人に「調節の目安」を尋ねてみました。
薬局の人いわく「出なくなることのほうが怖いので、基本的にはそのまま」ということでした。
で、「便がゆるくなりすぎたりしてお腹が痛くなったりするようだったら」薬の量を減らすことを検討したほうが良いとのことでした。
なにかしら異常が起きるまでは、そのまま飲んでたほうが良いということでしょうかね。
そういえば、訪問介護の人も「出なくなることが怖い」ことは言ってました。そうなったときの処置は、結構、痛いことをしなければならなくなるんだとか。
ちなみに、訪問介護の人いわく、私の姉が飲んでる下剤の量は(多くのオストメイトの人と比較すると)まだ少ないほうだそうです。
どれだけの割合のオストメイトの方たちが下剤を飲んでいるのか、まだ知らないのですが、興味があるところです。
身体障碍者手帳の取得のために先生に書いていただく診断書の料金
姉がオストメイトになってから早くも5カ月が過ぎましたが、やっと身体障碍者手帳を取得するという流れになりました。
で、病院の先生に書いていただく診断書の料金が10,800円とのこと。相変わらず病院に書いてもらう書類は(ちょこちょこっと記入するかチェックを入れるだけの割には)料金が高いなーという印象ですね。
自治体によっては診断書の料金の助成をしてくれるところもあるという記事を見たので、さっそく役場に電話して聞いてみたんですが、残念ながら私の自治体では身体障碍者手帳の診断書については助成制度が無いということでした。
すごく心に染み入るような記事でした。
中でも「身内が世話をすればい」と思われがちだが もし本人が一人だけになったときのために
ということを考えておられるところとか
ちょっと今の私では思いつかないようなことも書いてあって勉強になりました。
私自身 身近にそういう人がいないのですが、いつか誰かが もしかしたら自分がそうなるかも知れない時に
この記事のことを思い出そうと思いながら読んでいました。
りんたろうさん、いつもコメントありがとうございます!
家族の世話(介護)をしないで済むに越したことはないわけですが、家族がいるのであれば、誰にでも起こりうることなので、ある程度の覚悟とか想定とかはしておいたほうが良いかもしれませんね。
特に両親が高齢になると、急に介護を迫られる立場になって、あわてる方も多いようですね。
私自身も本当に不意を突かれた状態でしたけど、今では日常を取り戻すことができました。
りんたろうさんのコメントからも力をいただけた気がします。ありがとうございます!^^