当サイトの記事「自転車のスタンドが上がらないとき」に書いた通り、我が家の電動アシスト自転車のスタンドが上がらなくなったので、スタンドを交換してみました。そのときの作業の過程をご紹介します。
なお、作業対象となった自転車はパナソニック BE-ENNX634 『ViVi NX』(2012年頃発売)です。
作業中、電動自転車のバッテリーは(付いてると危険なので)外しておきましょう。
必要な工具
必要な工具は下記の2つです。
普通サイズのプラスドライバー
15mm の首振りギアレンチ(またはラチェットレンチ、またはレンチ)
15mm の通常のレンチでも良いのですが、ラチェットレンチまたは首振りギアレンチが非常に使いやすいのでお勧めです(何度もナットを挟みなおす必要が無い)。特に首振りギアレンチはレンチの角度も変えられるので更に便利です。
なお、挟むナットの幅を変更できるモンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)は、固く締まったナットをなめやすいのでお勧めしません。
あったほうが良いかもしれない道具
必須ではないけれど、あったほうが良いかもしれないものを考えてみました。
作業用の手袋
手が汚れる可能性があるので、気になる人は用意しておいたほうが良いでしょう。
汚れを拭くもの
ぼろ布、雑巾、ウエス、ティッシュ・・・。汚れている部品を拭いたり、油まみれの部品を触るときに使ったり、手を拭いたり・・・。
作業用のスタンド
スタンドを上げた状態で自転車を自立させられる作業用のスタンド。
我が家には強風対策として以下のような自転車用のスタンドがあるので、これを利用して、スタンドを上げた状態でも自転車が自立できるようにしました。
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こういったスタンドが無い場合は、自転車を上下逆さまにして自立させる方法もあるようです。他の手としては、重いもの(水を入れたポリタンクとか)の間に前輪を挟むとか、壁に立てかけるとか(何度も自転車の左・右と変えるのがちょっと面倒ですが)。
この機会に作業用のスタンドを手に入れておくのも良いかもしれませんね。
10mm のレンチ
後述しますが、変速機の調整をついでにやっておいたほうが良いかもしれません(簡単です)。その場合、10mm のレンチを使います。
カメラ
スマホのカメラ、デジカメなど。部品を外す前に写真を撮っておくと、あとで元に戻すときに役に立ちます。
スタンドを注文
私の自転車は平爪タイプの26インチだったので、これを注文しました。
スタンドには平爪タイプと逆爪タイプがあるようなので、間違えないようにしましょう(下の2つ目の写真が参考になるかも)。
私が注文したスタンドは、オートロックのスタンド(スタンドをおろすと自動的にロックがかかる)ではないので注意してください。
注文したスタンドを取り付けて実際に使ってみると、個人的には、自動的にロックされないスタンドのほうが(毎回ロックを外す手間がなくなり)使いやすいと思いました。
こんなのが箱に入って届きました。
下の写真の右下に「平爪」と「逆爪」の図があります。左が「平爪」、右が「逆爪」の絵ですね。
上の写真「スタンドの取付方法」の説明に出てくる幾つかの用語が気になったので調べてみました。
- フェンダーステー
自転車の泥除けカバーと車軸をつないでいる棒状の金具のことです。フェンダー(fender)の意味は「守るもの、囲うもの、泥除け」、ステー(stay)の意味は「支え、支える」。 - キャリヤステー
荷台と車軸をつないでいる棒状の金具のことです。キャリヤ(carrier)の意味は「運ぶためのもの、荷台」。 - シャフト
車軸(ハブ軸)のことです。シャフト(shaft)の意味は「回転する軸」。
ではスタンドの交換を始めましょう。
自転車のスタンドを上げた状態で、自転車を自立させておいてください。
古いスタンドを外す
自転車に付いている古いスタンドを外します。
後輪の右側のハブナットを外す
自転車のホイールを固定しているナットのことをハブナットと呼びます。別名ホイールナット。
ベルクランクカバーを外す
自転車の後部車輪の(進行方向を向いて)右側に「ベルクランク」という部品があります。
まずこのカバーを外します(プラスドライバーでネジを外し、カバーを引くと取れます)。
変速機を1に設定する
次に、変速機の数字を1に設定します。これは、ベルクランクの金具に挟まっている変速機のワイヤーの端を外しやすくするために行います(後述)。
ご参考までに。
変速機を3にしたときのベルクランクの様子。
変速機を2にしたときのベルクランクの様子。赤丸のところに変速機のワイヤーの端(卵型。タイコと呼ぶらしい)が見えてきました。
変速機を1にしたときの様子。
下の写真は、別角度から撮った、変速機のワイヤーの端(卵型。タイコと呼ぶらしい)のアップです。
変速機のワイヤーの端をベルクランクの金具から外す
さっきカバーを外したところに戻って見てみましょう。変速機のワイヤーの端(卵型のふくらみ。タイコと呼ぶらしい)が金具の溝からちょっぴり顔を出しているのが分かります。
下の写真のように、ハブナットの上(横?)にあるレバーを押すと、ワイヤーを挟んでいる金具(赤丸の部分)が引っ込んでいきます。
金具が引っ込むと、そこに変速機のワイヤーの端があらわになります。
角度を変えて見てみましょう。ワイヤーの端がピョコっと出てるのが分かりますか?
このワイヤーの端を指でつまんで、上方向に持ち上げながら金具の溝に通し、レバーを戻すと、ワイヤーが金具から外れます。
下の写真は、ワイヤーの先端が金具から外れたところです。
ワイヤーの先端が金具から外れると、レバーが開きます。
ワイヤーの端を金具から外すやり方が「まだよく分からない」という方は、下記をクリックしてみてください。
ワイヤーを挟んでいる金具の部分は、下の写真のような2つの部品から構成されています(段ボールを切って作ってみました)。便宜上、ここでは左の金具を「箱状の金具」、右の金具を「板状の金具」と呼ぶことにします。
実際は「箱状の金具」と「板状の金具」が組み合わさって、下の写真のような部品になっています(部品を上から見たところ)。
ワイヤーを外すには、まず「箱状の金具」から伸びている1のレバーを押します。すると「箱状の金具」が2の方向に動きます。
そうするとワイヤーの端が出てくるので、指でつまんで「箱状の金具」の溝を通します。
レバーを戻すと、ワイヤーが「箱状の金具」の溝からはずれるわけです。
よくイメージできない場合でも、実際にやってみれば「あぁ、なるほど」と分かると思います。
プッシュロッドを抜く
ハブナットの中心の穴に刺さっている棒(プッシュロッドと言うらしい)を抜きます(手で抜くことができます)。ぶつけて曲げたりしないよう注意しましょう。
右側のハブナットを外す
首振りギアレンチ(またはラチェットレンチ、またはレンチ)を使って、右側のハブナットを外します(回し方は通常。つまり外すときは逆時計まわり)。ハブナットが回り始めるまでは力がいると思います。
ハブナットが外れると、部品がどういう順番で付いていたのか分からなくなる場合があります。不安な場合は、ハブナットを外す前に写真を撮っておきましょう。
余談ですが、「電動ドリルドライバーで危ない目に遭った話」です。
実は最初、電動ドリルドライバーに 15mm の六角ソケットを付けて自転車後輪のハブナットを外そうとしたんですが、ドライバーの締め付け力を最高の21に設定しても外れませんでした。「う~ん」とあきらめかけたとき、締め付け力の調整ダイヤルが21を超えて回ることに気付きました。で、軽い気持ちで目いっぱいダイヤルを回してしまったんですよ(← 危険)。
そして右手だけでドライバーを持って、ドライバーに付けた六角ソケットをハブナットにセットしてスイッチを押したら・・・次の瞬間、右手首がすごい力でねじ上げられ、電動ドライバが宙を飛んで、落ちました(あとで確認したら、落ちた衝撃で?スイッチが壊れていた)。右手の指には(どうやってできたのか不明だが)小さな傷ができていて、そこから少し血が出ていました。
私は DIY の初心者です。「馬鹿だな、コイツ」と思われても仕方ありません。でも良い勉強になりました・・・。
ある意味、運が良かったですね。運が悪かったら骨折してたかもしれないし(手首はちょっと痛みがあったけれど無事でした)、電動ドライバが飛んだ方向によっては大けがしてたかもしれません。きっと他の人はこんなミスはしないと思いますが、みなさんも気を付けてください。
電動ドライバの説明書を読みなおしたんだけど、特にそういう注意は書いてなかったんですよねー(常識だから?)。
後日、カインズに行って、壊れたドリルドライバーの修理の見積りをお願いしてきました。そのとき、ついでに、工具の担当の方に「締め付け調整ダイヤルをここまで回してしまうのは間違った使い方ですか?」と聞いてみたら、「いえ、ドリルを使う場合なら間違っていません。これ、ドリルのマークです」とのお返事。
・・・ただの線だと思ってた・・・。あらためてドリルドライバーの説明書を見ると、「ドリル」の使い方のところに書いてありました。この位置までダイヤルを回すと「大きな力がかかり振り回される恐れがあります」とも書いてある。
六角ソケットを付けてこのマークに合わせたのは危険な行為だったようですね。
あと、手で回すレンチよりも「電動ドリルドライバー + 六角ソケット」のほうが良いという先入観を持っていたのですが、電動ドライバーでは回らなかったナットが首振りギアレンチでは簡単に回りました。
ハブナットとワッシャーが外れました。
後輪の左側のハブナットを外す
今度は左側のハブナットを外します(回し方は通常。つまり外すときは逆時計まわり)。部品がどういう順番で付いていたかを後で確認できるように、外す前に写真を撮っておくと良いかもしれません。
ハブナットを外すと、スタンドの金具の上に樹脂のような部品が付いてるのが分かります。これは引き抜くようにして外します(回す必要はありません)。
外したハブナット、ワッシャー、丸い樹脂のような部品。
これでスタンドが外れます。外すときに、どういう状態・向きで付いていたかを確認しておきましょう。
新しいスタンドを付ける
古いスタンドのかわりに新しいスタンドを付けます。(自転車に乗ったときスタンドのロックレバーが左側にくるようにする)
左側のハブナットを仮締めする
新しいスタンドを付けるとき、丸い樹脂も取り付けるのを忘れないようにしましょう。
外したときの逆の順番で、元通りにして、ハブナットを仮締めします。自転車の左右のハブナットを交互に少しずつ締めていくとやりやすいようです。
ハブナットを締めようとして車輪の軸(ハブ軸)に金具(フェンダーステー、キャリヤステー)をセットするとき、金具が車軸から出ていこうと反発する力が強いため(金具の穴から車軸の頭が十分出てこないため)、ハブナットを締められないことがあります。こういう場合、車軸の頭を出そうとして金具を押し込むわけですが、車軸のすぐ近くを押すよりも車軸から少し離れた場所を押したほうが(テコの原理によって)うまくいくようです。
スタンドを引っかける爪が適切な位置にあるか確認しましょう。
右側のハブナットを仮締めする
今度は右側です。外したときの逆の順番で、元通りにして、ハブナットを仮締めします。自転車の左右のハブナットを交互に少しずつ締めていくとやりやすいようです。
左側のときと同様に、スタンドを引っかける爪が適切な位置にあるか確認しましょう。
スタンドの位置を調整して、ハブナットを本締めする
自転車の後方または上から見て、後輪がスタンドの中央に来ているか確認し、必要に応じて位置を調整します。
位置が決まったら、ハブナットをしっかりと本締めします。
プッシュロッドを元に戻す
ハブナットの中心から抜いた棒(プッシュロッドと言うらしい)を元に戻します。
変速機のワイヤーを元に戻す
変速機のワイヤーを元に戻します。ワイヤーを外したときと逆の手順で行います。
念のため説明すると、変速機のワイヤーの端を指でつまんで、金具のレバーを押して、金具の溝のところに引っかけます。
下の写真のようになればオッケーですね。
ベルクランクカバーを付ける
ベルクランクのカバーを戻して完了です!
あとで変速機の微調整が必要になる場合があるようです(ネジを回すだけで簡単です)。ベルクランクのカバーを閉じる前に、ついでに変速機の微調整をしておけば、またカバーを開ける手間が省けます。やり方はこちらを参照してみてください。→「電動自転車(ママチャリ)の変速機の調子が悪いので直してみた」
自分でやってみると達成感があっていいですね。余は満足じゃ。
自転車に乗る前に、ブレーキの利き具合・チェーンの張り具合・その他異常がないかを確認しておきましょう。