まえおき
「料理をしたことがない」「包丁が使えない」という人のために、料理のシロウトである私の目線から、包丁の基本的な使い方を記事にしてみます。「包丁なんて普通に使えるよ!」という方には不要な記事でございます。^^
私は自分のアトピー体験の記事を書いてますが(参考:「アトピー」の記事一覧)、アトピーを改善させるために最も重要なことは「きちんとした食事をすること」だと考えています。その一環として、毎日多くの種類の野菜を採ることも大切だと思っており、「毎日16~21種類以上の野菜を食べる」という記事を書きました。
しかし、その記事で紹介していることを実践するには、包丁を使って野菜を切るという作業が必要です。できる人には何でもないことですが、そうでない人には大きなハードルになるかもしれません。この記事では、そのハードルを取り除くお手伝いができたら嬉しいと思っています。
以前の私自身が、包丁を使うのがちょっぴり怖くて、ほとんど料理をしない人でした。料理ってやっぱり包丁から始まるとも言えますよね。 包丁を使うのが怖いと料理も敬遠しがちになる。でも包丁が使えれば、新しい世界が広がり始めますよ。
料理をしなかった私は、ある時、必要に迫られて、基本的な料理をしなければならない状況に置かれました。否応なく包丁を手に持つことになり、それから数年。
こんな私でも、今ではテレビを見ながら椎茸を切れるようになりました。
(^_^) 難しい技術ではありません。でも、自分や自分の家族の健康を守るという意味では、非常に大きな意味を持つ重要な技術です。
今は包丁を使うことにためらいがあるあなたも、チャレンジしてみませんか?
(^_-)-☆
注意事項
実際に包丁を使う前の注意事項です。
安定した状態で包丁を使うこと
包丁を使うときは、安定した状態で行うことを忘れないでください。
フラフラ、グラグラ、ユラユラ、ツルツル、ヌルヌル・・・そういう状態で包丁を使うと怪我をします。「ちょっと不安定かな」と思ったら、そこで手を止めて、どうすれば安定するか考えましょう。
まな板は、平らで滑らない安定した場所に置く
まな板を安定した場所に置いてください。当たり前ですがとても重要です。通常は、コンロとシンクの間にある平らなスペースにまな板を置けば大丈夫なはずです。不安定な場所には絶対に置かないでください。
コンロとシンクの間の平らなスペースにまな板を置いてもまな板が安定しない(滑る、グラグラする等)場合は、まな板の下に濡れたふきんやタオル等を置くと良いようです。
包丁の握り方
包丁の握り方ですが、あなたが力を入れやすい握り方(=安定して切れる握り方)で良いと思います。しっかりと握りましょう。
私は包丁の背に親指を乗せています。こうすると(私は)包丁に安定した力を伝えやすい気がします。
包丁を左右に傾けない
包丁の刃を横に傾けないで、まな板に対して直角に立てましょう。
下記の写真は悪い例です。包丁を下の写真のように横に傾けてはいけません。
中級~上級者になれば包丁を横に傾けるテクニックもありますが、初級者のあなたには危険なので、今は真っすぐ切ることに集中しましょう。
なお、下の写真のように、包丁の前方を先に着地させて、包丁の後方に傾けていく動作は問題ありません。このようにしたほうが切りやすい場合もあります。
包丁の動かし方
基本的には、下の写真のように、包丁を前方へこする(滑らす)ように動かすと切りやすいと思います(個人的感想)。
場合によっては、上から下へまっすぐ降ろすほうが切りやすい場合もあると思います。しつこく野菜の繊維や皮が残る場合はノコギリのように前後にギコギコ動かしたほうが切りやすい場合もあります。包丁の細かい動かし方については、実際に切りながら、いろいろ試してみるのが良いと思います。
抑える手は猫の手にする
原則として、野菜を抑える手は猫の手のように丸めて、人差し指の第一関節を突き出し、他の指を拳の中に入れます。
下の写真を見てください。突き出した人差し指の第一関節に包丁の側面を当てて、包丁から指先をガードするわけです(包丁の刃が落ちる位置を固定する役目もあります)。
人差し指の第一関節の位置に包丁の側面を当てたら、その位置から包丁を前下に押し下げて元の位置に戻すというイメージで動かしてください。最初のポジションから包丁の刃を上にあげると危険です。ゆっくり何度か練習して感覚を覚えましょう。
「野菜を抑える手から包丁を離して切ったほうが安全じゃないの?」という疑問を持つ人がいるかもしれません。
このあとでニンジンの頭とお尻を切り捨てる場面が出てきますが、その程度なら抑える手から包丁を離して切っても良いと思います。小松菜の束のように、猫の手では抑えにくい場合もあります(その話もこの後で出てきます)。でも、原則として、抑える手から包丁を離したほうが不便だし危険になります。それはなぜでしょう?
まず、抑える手から包丁を離してしまうと、包丁が安定しずらい(包丁を降ろすときに包丁が正確な場所に着地しずらい)ので、野菜を等間隔に切ることが難しくなります。そして、包丁の着地点を目だけで見て判断する必要があるため、切る速度も遅くなります。更に、野菜を切り進めて包丁が抑える手に近づいていくと、うっかり抑える手を切ってしまう危険性が高くなります。
抑える手に包丁をくっつけておけば、包丁を安定させて、野菜を正確に切ることができるわけです。そして慣れてくれば目に頼らずに切れるようにもなります(※初心者のうちはしっかり見ながら切りましょう)。
力を入れすぎず、ゆっくり
包丁の初心者のうちは、包丁をゆっくり動かすようにしましょう。
また、力を入れすぎないようにしてください。たいていの野菜は片手に少し力を入れるだけでストン、ストン、ストンというように簡単に切れるはずです。いつもよりも少し力を入れるような場面はたまにありますが(ニンジンの頭や背を切るとき等)、そういうときは一度に切ろうとせずに「グッ」「グッ」「グッ」と何度かに分けて少しずつ力を入れるようにします。
それ以上の力を要するようなことが万が一あるとしたら、初心者のあなたはそれ以上続けないでやめておきましょう。やり方が間違っているか、それは中級者以上が扱うべき野菜だと思われます。包丁の初心者が、包丁に大きな力を入れて作業するのは大変危険です。
実践
では実践です。まずニンジンを切ってみましょう。
おさらい
その前におさらいです。
- まな板は、平らで滑らない安定した場所に置く
- 包丁を左右に傾けない
- 切るときに不安定だと感じたら中断して、安定する方法を考える
- 抑える手を猫の手にする(人差し指の第一関節でガード)
- 力を入れすぎず、ゆっくり切る
大丈夫ですね? ではニンジンを切ってみましょう。
ニンジンはさっと軽く洗えばオーケーです。ニンジンの(本当の)皮は内鞘細胞という薄い皮で、出荷時にはすでに取れています。皮をむく必要はありません。
ニンジンの頭とお尻を切る
ニンジンのお尻(下)を少し切り捨てます。ニンジンをしっかり抑えて、猫の手にして、人差し指の第一関節に包丁の側面を当てて、ゆっくり包丁を降ろしましょう。
次に、ニンジンの左右をひっくり返して持ち直し、ニンジンの頭(上)を少し切り捨てます。ニンジンをしっかり固定して、猫の手にして、人差し指の第一関節に包丁の側面を当てて、ゆっくり包丁を降ろしましょう。ゆっくりですよ。
固くて切りにくい場合は、包丁を斜め下に押し出すようにすると切りやすくなります。一気に切ろうとしないで、「グッ」「グッ」「グッ」と何度かに分けて慎重に少しずつ力を入れるようにします。少し力が要る箇所なので、怪我をしないよう十分に注意してください。
ニンジンを唐竹割(からたけわり)にする
ニンジンの左右をもう1度ひっくり返して、今度はニンジンの細いほうからゆっくり切ってみましょう。切り進めて「そろそろちょっと大きいかな?」「そろそろ食べにくい大きさかな?」と思ったら、ニンジンを唐竹割にして半分にしましょう。
ニンジンの太いほうを下にして立てて、抑える手でニンジンの半分を支えて、上からニンジンに包丁を入れていきます。包丁をゆっくり進めてニンジンを2等分にします。力が入らず切りにくいときは、包丁を斜め下に押すように動かすと切りやすくなります。一度に切ろうとせずに、力を少しずつ何度かに分けて入れながら切り進めると良いでしょう。
ニンジンを食べやすい大きさに切る
いよいよクライマックスに突入です。縦割りにしたニンジンを横にして、ゆっくりと切っていきます。
抑える手の人差し指の第一関節を出して、そこに包丁の側面を当てて切っていきます。
- 野菜を薄く切るときは(抑える手の全体を動かさなくても)抑える手の人差し指の第一関節の位置を調節すれば、その場で数回くらいは切れます。調節の方法はいくつかあります。たとえば、・人差し指の第一関節を少しずつ曲げながら引っ込める
・抑える手のヒジを少し高く上げた状態で切りはじめ、ヒジを少しずつ下げていくことで、人差し指の第一関節を少しずつ引っ込める
・人差し指を突き出してその第二関節のあたりを包丁の側面に当て、抑える手の全体を少しずつ引きながら包丁の側面を第一関節にずらしていく
・包丁の側面に当てている指先の角度を少しずつ包丁の先頭方向に向けることで包丁を進めていく
・人差し指は動かさず、包丁の刃の角度をごく微妙に変えることで切り進める(大きく左右に傾けるわけではない)
...等。このへんは理屈で覚えるよりも、体で覚えたほうが良いでしょう。 - 人差し指の位置が少し窮屈だと感じたら、抑える手の全体を少し引っ込めて、再び人差し指の第一関節に包丁の側面を当てます。慣れるとスムーズに手を引っ込めていけるようになります。
1. と 2. を繰り返しながら切り進めます。
切り勧めていくと、やがて下の写真のような状態になりますよね。不安定な状態になってしまいました。ちょっとでも不安定だと思ったら、手を止めて、どうすれば安定するかを考えましょう。
どうしましょうか?
ニンジンを倒せばいいですね(笑)。残ったニンジンがまだ大きい場合は、倒してから、更に小さく切りましょう。
ニンジンの背を切る
太いニンジンの場合、ニンジンを縦割りにしてもまだ大きすぎる場合があります。その場合はニンジンの背中に包丁を入れて、更に2等分にしましょう。
ニンジンの背を切る時は、まずニンジンの太いほうに上から鋭角に包丁の先を入れていきます。抑える手で包丁の前方の背を抑えるとやりやすいと思います。
次に、包丁の後方に、ゆっくりと、慎重に、力を入れていきます(ニンジンの背に少しだけ刃が入ればOK。力を入れすぎないように)。
今度は、包丁の後方の力を抜いて、また包丁の前方に力を入れます。軽く力を入れながら、上の動作と下の動作を何度かギコギコと繰り返せばニンジンの背が切れるはずです。
小松菜を切る
今度は小松菜を切ってみましょう。まず軽く洗って泥を落とし、お尻の固いところを切り捨てます。
小松菜の束に厚みがあって猫の手だと抑えにくい場合は、抑える手を包丁から遠ざけて小松菜を包むようにしっかりと抑え、お尻の部分を切ります。
小松菜の束が厚いうちは、抑える手を包丁から遠いところにおいて、ゆっくりと切ったほうがやりやすいかもしれません。
切り進めて、抑えやすい厚みになってきたら、抑える手を猫の手に変えて包丁の側面を付けたほうが切りやすいと思います。
どうでしたか?
慣れないうちは時間がかかるかもしれませんが、あせらないで、安全を最優先にしてチャレンジしてくださいね。慣れるに従って、自然と早く切れるようになっていきます。
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